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kintoneで”成功する企業と失敗する企業”の決定的な違い

kintoneで成功する企業と失敗する企業の決定的な違い

株式会社ファストコーディングで営業を担当しています長谷川と申します。お客様とお話ししていて気づいたことや、フロントエンド開発、コーディング制作界雈で最近流行っていることを書いていこうと思っております。どうぞ宜しくお願いします。

今回はkintoneの話です。最近、お客様から「kintoneを導入したんですけど、なかなか定着しなくて……」というご相談をいただくことが増えました。一方で、「kintoneのおかげで業務がすごく楽になった」とおっしゃるお客様もいらっしゃいます。同じツールを使っているのに、なぜこんなに差が出るのか。営業として何社ものkintone案件に関わってきた立場から、その「決定的な違い」についてお話しさせてください。

「kintone入れたのに、結局Excelに戻っちゃいました」

これ、実はお客様からかなりの頻度でお聞きする言葉なんです。導入時は「これで業務改善だ」と意気込んでいたのに、半年後には元のExcel管理に逆戻り。せっかくの投資が無駄になってしまうケースです。

お客様にお話を聞いていくと、失敗の原因はツールそのものではなく、導入の進め方にあることがほとんどなんですよね。

失敗する企業に共通する3つのパターン

これまで関わった案件を振り返ると、kintoneがうまくいかなかった企業には共通点がありました。だいたい次の3つのパターンに当てはまります。

パターン1:最初から「理想の完成形」を作ろうとする

ある製造業のお客様で実際にあった話です。kintone導入と同時に、受注管理・在庫管理・顧客管理・日報をすべてkintone上で一元管理しようとされました。アプリは20個以上、プラグインも大量に導入して、初期構築に3ヶ月かけたんです。

結果どうなったか。現場の方から「前のやり方のほうがわかりやすい」「操作が複雑すぎて覚えられない」という声が噴出しました。情報システム部門の方が頑張って作ったのに、現場が使ってくれない。これは本当につらい状況です。

「長谷川さん、機能は揃ってるんですけど、誰も使いこなせてないんです。画面を開くたびに『どこに何を入れるんだっけ?』って聞かれて……」

このお客様は最終的に、アプリを5つに絞り込んで再スタートしました。最初から全部やろうとすると、こういうことが起きるんです。

パターン2:「一人の担当者」にすべてを任せる

もうひとつ多いのが、kintoneの構築から運用まで、社内の一人の担当者にすべてを任せてしまうパターンです。

その担当者が優秀であればあるほど、どんどんアプリが高度になっていきます。ルックアップを多段で組んだり、JavaScriptカスタマイズで独自の処理を入れたり。確かに便利にはなるのですが、その人しか仕組みを理解していない状態ができあがるんですよね。

実際に、こんなご相談もありました。

「kintoneを作ってくれた社員が異動になったんですが、アプリの設定を変えられる人が誰もいなくて。フィールドを1つ追加したいだけなのに、どこをどういじればいいのかわからないんです」

属人化の問題は、kintoneに限った話ではありません。ただ、kintoneは「ノーコードで誰でも作れる」というイメージが強いぶん、ドキュメントを残さずに作り込んでしまうケースが多いんです。「簡単に作れる=簡単に引き継げる」ではないんですよね。

パターン3:現場の声を聞かずに導入する

これは特に経営層や情報システム部門主導で導入を進めた場合に起きやすい問題です。「業務効率化」「DX推進」という大きな方針のもと、現場の実務を十分にヒアリングしないまま、kintoneの導入を決めてしまう。

ある人材紹介のお客様では、営業部門の日報をkintoneで管理することになりました。ところが、営業担当の方々は外出先からスマートフォンで入力することが多く、「項目が多すぎてスマホでは入力しづらい」「移動中にさっと入れたいのに、必須項目が多くて時間がかかる」という不満が出ました。

現場の実際の業務フローを知らないまま設計すると、「使いにくいツール」になってしまいます。これではいくら良いツールでも定着しません。

成功する企業がやっていること

では、kintoneをうまく活用している企業は何が違うのか。いくつかの成功事例から見えてきた共通点をお伝えします。

「小さく始めて、少しずつ広げる」を徹底している

成功しているお客様に共通しているのは、最初の一歩が驚くほど小さいことです。

たとえば、ある小売業のお客様は、最初にkintoneで作ったのは「お客様からのクレーム記録アプリ」1つだけでした。それまでは紙に手書きで記録していた内容を、kintoneに入力するようにしただけです。

「最初は『これだけ?』って思いましたよ。でも、過去のクレームを検索できるようになっただけで、対応がすごく楽になったんです。それで『次はこれもkintoneでやりたい』って自然に広がっていきました」

1つのアプリで成功体験を作ること。これが現場の「もっと使いたい」という気持ちを引き出すんです。いきなり全部やろうとするより、はるかに定着率が高い。私が見てきた成功事例は、ほぼ例外なくこのパターンでした。

「kintoneチーム」を作っている

一人の担当者に任せきりにしないことも重要です。成功している企業では、だいたい2〜3名のチームでkintoneを管理しています。

全員がプログラミングできる必要はありません。「アプリの設計を考える人」「現場の要望を集める人」「設定を触れる人」のように、役割を分けているケースが多いです。こうしておけば、誰か一人が異動や退職をしても運用が止まりません。

あるIT企業のお客様は、四半期ごとに「kintone定例会」を開いて、アプリの改善点や新しい要望を話し合っているそうです。この「仕組みとして回す」という発想が、長く使い続けるコツなんですよね。

カスタマイズの「やらない基準」を持っている

kintoneは柔軟なツールですから、やろうと思えばかなりのことができます。JavaScriptカスタマイズやプラグインを組み合わせれば、業務システムに近い機能も実現可能です。

ただ、成功している企業は「どこまでやるか」ではなく「どこからやらないか」を明確に持っています。

「うちは標準機能でできる範囲にしか手を出さないって決めてるんです。カスタマイズが必要になったら、それは業務フローのほうを見直すべきサインだと思ってます」

このお客様の言葉は、非常に本質をついていると思いました。カスタマイズが増えるほど、保守コストも属人化リスクも上がります。「標準機能で大部分をカバーし、残りは運用でカバーする」くらいの割り切りが、長期的にはうまくいくんです。

導入後3ヶ月で起きがちな問題

お客様とお話ししていると、kintone導入後の3ヶ月目あたりが一番危ない時期だと感じています。導入直後の熱量が落ち着いてきて、現場から不満が出始めるタイミングなんです。

よく聞く問題をまとめると、こんな感じです。

問題よくある原因対処の方向性
「入力が面倒」で現場が使わなくなる必須項目が多すぎる、入力画面が複雑フィールド数を最小限にし、段階的に増やす
「結局Excelのほうが早い」と言われるkintoneの強み(検索・集計・共有)が活かされていない「Excelでは不可能なこと」を1つ見せる(例:グラフ集計、通知)
データの入力ルールがバラバラになる入力ルールを決めていない、選択肢が足りないドロップダウンや選択肢を活用し、自由入力を減らす
アプリが増えすぎて混乱する要望のたびに新しいアプリを作ってしまうアプリの整理・統合を定期的に実施する
「誰がどこまで見えるの?」と不安が出るアクセス権限の設計が曖昧導入前にアクセス権限の一覧表を作成する

どれも技術的に難しい問題ではないんです。でも、事前に想定していないと対応が後手に回って、現場の不信感につながります。「3ヶ月後にこういう問題が出やすいですよ」と事前にお伝えするだけで、お客様の準備が変わるんですよね。

「ツールの選定」ではなく「組織の準備」で決まる

ここまでお話ししてきて、おわかりいただけたかと思いますが、kintone導入の成否を分けるのはツールの性能ではありません。組織としてどう向き合うか、です。

私がお客様にお伝えしている「導入前に確認しておきたい5つのこと」をご紹介します。

  1. 最初に解決したい業務課題が1つに絞れているか——複数の課題を同時に解決しようとすると、どれも中途半端になりがちです
  2. 現場のキーパーソンが巻き込めているか——実際に手を動かす人が「自分ごと」として参加しているかどうかが成否を分けます
  3. 運用を担当するチーム(2名以上)がいるか——一人に依存する体制は必ず破綻します
  4. 「標準機能でどこまでやるか」の線引きがあるか——カスタマイズの誘惑に負けない基準を事前に決めておくことが大事です
  5. 3ヶ月後の振り返りミーティングを予定しているか——導入して終わりではなく、定着させるための仕掛けが必要です

これらが揃っているお客様は、高い確率でkintoneの定着に成功しています。逆に言えば、この5つのうち2つ以上が欠けている場合は、導入を急がず、まず組織の準備から始めたほうがよいかもしれません。

まずはご相談ください

今回は営業の立場から、kintoneで成功する企業と失敗する企業の違いについてお話ししました。繰り返しになりますが、kintoneは良いツールです。ただ、ツールだけでは業務は変わりません。「どう導入するか」「どう定着させるか」の設計が、成果を左右します。

「kintoneを導入したいけど、うちの組織で本当にうまくいくのか不安」「導入したけど、いまいち活用できていない」——そんなお悩みがあれば、ぜひ一度お話を聞かせてください。弊社ではサンプルアプリを先に確認いただいてから発注を決められる「成果報酬型」のkintoneアプリ開発を提供しており、「いきなり大きな投資をするのが不安」というお客様にも安心してご依頼いただけます。導入前の業務整理や運用設計のご相談もお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

先日、ゴルフ仲間に「kintoneって何?」と聞かれたので説明したら、「うちの会社にも入れてほしい」と言われました。まずは1つのアプリから始めましょう、とお伝えしたところです。ゴルフと同じで、いきなりスコア70台を目指すより、まずはOBを減らすところから始めるのが上達の近道です。