UI/UX

2024年はWebアクセシビリティが義務化?!今こそ早期対応を!

こんにちは。FASTCODING UI/UXデザイナー、一富士二鷹三茄子です。

前回、「Webアクセシビリティ」について触れましたが、2024年4月に施行される「改正障害者差別解消法」により、全事業者に対して「合理的配慮の提供」が義務化されます。これによりどの様な影響があるのか、また義務化される事によって起こりうるリスクや、Webアクセシビリティ対応の手順についてもご紹介します。

 

障害者差別解消法とは?

障害者差別解消法は、障害者に対する差別を解消し、誰もが安心して暮らせる社会を目指す為の法律です。
正確な法令名を「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」として、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する事を目的として、10年前に制定されました。

 

法改正による義務化の内容は?対応しないとどうなる?

Webアクセシビリティ対応については、これまで努力義務とされていました。
しかし、2024年からは全事業者に対し「合理的配慮」する事が義務化された為、抵触した場合は処罰の対象となります。
内閣府によると(よくあるご質問と回答  Q7)、直ちに刑罰を課すとはしていませんが、障害のある方に対して民間業者が権利侵害を繰り返し、改善が見込めない場合や虚偽の報告をした場合、罰則の対象になるとしています。

内閣府の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」によれば、合理的な配慮を適切に実施するためには、「環境の整備」を行う必要があり、その一環として「情報アクセシビリティ」を考慮する必要があるとしています。Webアクセシビリティは情報アクセシビリティの一部であるため、これに対応する必要があります。

「合理的配慮」…障害のある人から、何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたとき、過重な負担の無い範囲で対応することが求められる

対応が遅れることで起こり得るリスク

日本よりも法整備が進んでいる米国では、Webアクセシビリティの不備が原因で訴訟を起こされたケースがいくつかあります。

2016年に発生したアメリカの事例では、視覚障がいを抱える男性が「ドミノ・ピザのWebサイトやアプリがアクセシブルでなかった為、ピザの注文やクーポンの利用が出来なかった」として、ドミノ・ピザを提訴しました。2021年、連邦地裁は視覚障がい者の男性に有利な判決を下し、ドミノ・ピザに対して同社のWebサイトをアクセシビリティに適合させるよう命じました。さらに、原告の男性に4,000ドルの損害賠償を支払うことを命じました。

Webサイトを利用する誰もがクーポンを使う権利がありますが、ドミノピザの事例の様に障害のある方が情報を認識出来ないサイトの作りになっていると、他のユーザーと同じ様に充実したサービスを受ける事が出来なくなってしまいます。

Webアクセシビリティ対応について、合理的配慮が義務となる今後は、日本でも同じ様な問題が起こる可能性がゼロではありません。障害のある方もWeb上で自由に情報を得られるよう、企業側はアクセシビリティに配慮したWebサイトの提供を心掛ける必要があります。

 

Webアクセシビリティ対応の手順

Webアクセシビリティに対応したWebサイトを構築する為には、最新のJIS規格である「JIS X 8341-3:2016」に対応している必要があります。

1. 対応する度合いを決める

JIS X 8341-3:2016 に対応している事を示す方法として、以下の3つがあります。

「準拠」は、試験を経て全ての達成基準が満たされた場合に使用されます。公表時には試験結果を併せて開示します。
「一部準拠」は、一部の達成基準が満たされている場合に使用されます。一部準拠の場合は、今後の対応方針も追加記載する必要があります。
「配慮」は、試験の実施や、その結果の公開の有無は問われません。

2. ウェブアクセシビリティ方針を作成

JIS X 8341-3:2016の対応度を表記する為には、最初に以下の2つを決定した上で「Webアクセシビリティ方針」を策定します。

対象となる範囲
Webサイトの対象範囲を決定します。通常、ドメイン名またはサブドメイン名を基準にします。

目標とする適合レベルを決める
「A・AA・AAA」の中から目標とする適合レベルを決定します。『みんなの公共サイト運用ガイドライン』や他国の法律等では「AA」が推奨されています。

3. Webアクセシビリティの試験を行う

ウェブアクセシビリティ方針が確定したら、試験を実施して対応状況を確認します。 対象となるページが目標とする達成基準に適合しているか、一つずつ確認します。
検証を行う際には、WAICが提供している「JISX8341-3:2016試験実施ガイドライン」から入手可能なExcelファイル「実装チェックリスト」を利用することで、作業を効率的に進めることができます。

また、Webアクセシビリティの評価ツールとして「miChecker (エムアイチェッカー)Ver.3.0」があり、こちらでチェックする事でも基準をクリアしているか確認する事ができます。

4. 試験結果を公開する

各ページのテスト結果をまとめ、対応状況を判定します。全てのページが全ての達成基準に合致していれば「準拠」となり、どれか1つでも達成基準を満たしていない場合は「一部準拠」となります。100点満点で評価すると、100点が「準拠」に対応し、1点から99点が「一部準拠」となります。

 

WebアクセシビリティとSEOの関係

WebアクセシビリティとSEOは高い関連性があります。それは、Webアクセシビリティを向上させるために取り組む内容は、SEOを向上させるための施策と共通している点がある為です。Webアクセシビリティを向上させることは、結果としてSEO対策にも繋がります。

弊社ではWebアクセシビリティ対策として、総務省が発表している「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2016年版)」に準拠し、サイトのチェックや修正を行っております。
また、SEOに強いサイト制作を得意としており、SEOに強い効果を期待できるセマンティックコーディング(Semantic Coding)を標準で実施しております。WebアクセシビリティとSEOの最適化を同時に行う事が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。

みんなの公共サイト運用ガイドライン
公的機関がWebアクセシビリティの向上に取り組む際の支援を目的として作成された 手順書で、JISX8341-3:2016 に対応しています

まとめ

いかがでしたでしょうか?
Webアクセシビリティに対応する事でリスクを回避するだけでなく、より多くの人に情報を伝える事ができる様になります。2024年の改正法施行に向け、早めに検討してみてはいかがでしょうか。

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