株式会社ファストコーディングで営業を担当しています長谷川と申します。お客様とお話ししていて気づいたことや、フロントエンド開発・コーディング制作界隈で最近流行っていることを書いていこうと思っております。どうぞ宜しくお願いします。
先日、長くお付き合いのあるお客様からこんな連絡をいただきました。
「ボタンの色を変えるだけなのですが、今日中にできますか?」
ボタンの色を変える。確かに、CSSを1行変えれば済む話に聞こえます。お客様がそう思われるのは当然のことです。
ただ、実際にはこの「1行の変更」の裏側に、目に見えない作業が存在します。今回は、お客様から「簡単だからすぐできますよね?」と言われたとき、営業としてどのように説明しているかをお話しします。
「見た目の簡単さ」と「実際の工数」が一致しない理由
理由1:変更箇所の影響範囲
ボタンの色を変える場合、まずそのボタンが「サイト内のどこに使われているか」を確認する必要があります。
あるお客様のサイトで、トップページのCTAボタンの色を変更した際の実例です。同じCSSクラスが以下の7箇所で使われていました。
- トップページのCTAボタン
- サービス紹介ページの「詳しく見る」ボタン
- 料金ページの「お申し込み」ボタン
- お問い合わせページの「送信」ボタン
- ブログ記事内の「関連記事を見る」ボタン
- フッターの「お問い合わせ」ボタン
- スマートフォンのハンバーガーメニュー内のボタン
お客様は「トップページのボタンだけ」とお考えでしたが、CSSの構造上、1箇所変えると7箇所すべてに影響します。「トップページだけ変えたい」という場合は、そのボタン専用のスタイルを追加する作業が発生します。
この「影響範囲の調査」は、実際にコードを確認しなければわからない作業です。
理由2:複数環境での確認作業
色を変更したら、正しく反映されているかを複数の環境で確認する必要があります。
| 環境 | 確認項目 |
|---|---|
| Chrome(PC) | 表示、ホバー時の色変化、クリック時の色変化 |
| Safari(Mac) | 同上 |
| Firefox(PC) | 同上 |
| Edge(PC) | 同上 |
| Safari(iPhone) | タップ時の色変化、フォントレンダリング |
| Chrome(Android) | 同上 |
「色を変えるだけ」であっても、最低6つの環境での確認が必要です。
理由3:安全な反映手順
多くのサイトでは、本番環境に直接変更を加えるのではなく、テスト環境で確認してから反映する手順を取ります。
- テスト環境でCSSを変更する
- 複数ブラウザで確認する
- お客様に確認いただく
- 本番環境に反映する
- 本番環境で再度確認する
「1行の変更」であっても、この手順は省略できません。省略した結果、本番環境で予期しない表示崩れが起きたケースを何度か経験しています。
お客様への説明で心がけていること
私が大切にしているのは、お客様のご認識を否定しないことです。
「それは簡単ではありません」から入ると、お客様は質問しにくくなります。そうではなく、以下の順序で説明するようにしています。
まず、変更の内容に同意する。
「はい、ボタンの色の変更はCSSの修正で対応できます。」
技術的にできることは「できる」と明言します。ここでお客様に安心していただけます。
次に、見えない作業を簡潔に伝える。
「ただ、このボタンのスタイルが他のページでも使われている可能性がありますので、影響範囲の確認をさせてください。確認の上、ブラウザテストとテスト環境での検証を経て反映いたします。」
技術用語を避け、「確認」「検証」「反映」という作業があることを伝えます。
最後に、具体的なスケジュールを提示する。
「影響範囲の確認に半日程度、ブラウザテストとテスト環境での反映で半日程度を見ていただければ、明後日の午前中には反映できる見込みです。」
「今日中にできますか?」に対して、「いつならできるか」を具体的に答えることが重要です。
Web制作の工数の構造
お客様にお伝えすると理解が得られやすいのが、工数の3層構造です。
| 層 | 内容 | お客様から見えるか |
|---|---|---|
| 実装 | コードを書く、画像を差し替える | △(結果だけ見える) |
| 検証 | 複数端末・ブラウザでの確認、影響範囲の調査 | ×(見えない) |
| 品質保証 | テスト環境での確認、本番反映、動作確認 | ×(見えない) |
お客様が「簡単でしょ?」とおっしゃるとき、見えているのは一番上の「実装」だけです。しかし実際には、その下に「検証」と「品質保証」という見えない層がある。
ある案件でこの表をお見せしたところ、お客様から「今まで、なぜこの工数がかかるのか説明してもらえなかった。だから不信感があったのだと思います」と言っていただけました。見えないものを見える形にするだけで、信頼関係が変わることを実感しています。
まずはご相談ください
今回は、「簡単だからすぐできますよね?」にどう答えるかをお話ししました。
今日から実践できることを3つにまとめます。
- お客様の「簡単でしょ?」には、まず「技術的にはできます」と同意してから、見えない作業を説明する
- 「いつならできるか」の具体的なスケジュールを必ず提示する
- 工数の3層構造(実装・検証・品質保証)を見せると、お客様の理解が得られやすい
株式会社ファストコーディングでは、お客様との丁寧なコミュニケーションを大切にしたコーディング代行を行っております。「修正の見積もりについて相談したい」「工数の考え方を整理したい」という方は、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

