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「バナーをいっぱい作っても成果が変わらない」理由を営業が説明する

株式会社ファストコーディングで営業を担当しています長谷川と申します。お客様とお話ししていて気づいたことや、フロントエンド開発・コーディング制作界隈で最近流行っていることを書いていこうと思っております。どうぞ宜しくお願いします。

「バナー増やせば売れるはず」という相談

先日、ECサイトを運営されているお客様からこんなご相談をいただきました。

「毎月バナーを10本以上作っているのに、売上が全然変わらないのです。デザイナーにもっとバナーを作ってもらった方がいいでしょうか」

この「バナーを増やせば成果が出るはず」という考え方は、実は非常に多くのお客様が持っていらっしゃいます。広告バナー、サイト内のキャンペーンバナー、メルマガ用のバナーと、制作の発注量は増えているのに、肝心のクリック率やコンバージョン率が横ばいか、むしろ下がっている。

私が営業として多くの案件を見てきた中で、この状況には明確なパターンがあると感じています。

バナーの「数」ではなく「導線」の問題

先ほどのお客様のサイトを実際に確認させていただいたところ、トップページにバナーが8枚並んでいました。季節のセール、新商品、送料無料キャンペーン、ポイント還元、会員登録促進、コラム紹介……。

お客様にお伝えしたのはこういうことです。「バナーが多すぎて、お客様(エンドユーザー)がどれをクリックすればいいかわからなくなっています」と。

飲食店に例えると、メニューが200品目あるお店で「おすすめは何ですか」と聞いたら、「全部おすすめです」と言われるようなものです。結果、お客様は選べずにお店を出てしまう。

バナーの問題も同じ構造です。伝えたいことが多すぎると、結果として何も伝わらない。

バナーの数と効果の関係

私の経験上の傾向をまとめると、以下のようになります。

トップページのバナー数各バナーの平均クリック率ユーザーの行動
1〜2枚3〜5%選択肢が明確、迷わずクリック
3〜4枚1.5〜3%やや迷うが、優先順位で判断可能
5〜7枚0.5〜1.5%選択疲れが発生し始める
8枚以上0.3%以下ほぼスルーされる(バナーブラインドネス)

これは私が複数のお客様の案件で見てきた傾向です。もちろんサイトの種類やユーザー層によって異なりますが、バナーが増えるほど1枚あたりの効果が下がるという構造は共通しています。

「バナーブラインドネス」という現象

Webの世界には「バナーブラインドネス」という言葉があります。ユーザーがバナー広告のような見た目の要素を無意識にスルーする現象のことです。

お客様にはこうご説明しています。「電車の中吊り広告を思い浮かべてください。毎日同じ路線に乗っている人は、もう広告を見ていません。目には入っていても、脳が処理していないのです。サイトのバナーも同じことが起きます」と。

特に以下のような特徴を持つバナーは、ユーザーに「広告だ」と判断されてスルーされやすい傾向があります。

  • 四角い枠で囲まれている
  • 原色系の目立つ配色
  • 「今すぐ」「限定」「お得」などの煽り文句が多い
  • ページの上部や右サイドバーに配置されている

皮肉なことに、「目立たせよう」として行う施策の多くが、かえってユーザーの無視を招いているわけです。

では、何を改善すべきなのか

バナーの数を減らすだけでは解決しません。根本的な問題は、ユーザーの行動導線とメッセージの整合性にあります。

1. バナーではなく「導線」を設計する

先ほどのECサイトのお客様には、以下の改善をご提案しました。

改善前:

  • トップページにバナー8枚
  • すべてのバナーが同じサイズ、同じ位置
  • クリック先がバラバラ(セールページ、商品ページ、コラムなど)

改善後:

  • メインビジュアル1枚(最も伝えたいメッセージ)
  • その下に「今週のおすすめ」として商品3点を直接表示(バナーではなく商品カード)
  • セール情報はヘッダーの帯(テキストリンク)に集約
  • 会員登録はフッター手前のセクションに移動

バナーを「減らした」というよりも、「バナーという形式をやめた」と言った方が正確です。情報をバナーに詰め込むのではなく、ページの構成そのもので導線を作る発想です。

2. KPIをクリック率からCVRに変える

バナー施策でよくある間違いが、バナーのクリック率をKPIにしていることです。

お客様からはこう質問されることがあります。

「新しいバナーのクリック率が2%から3%に上がりました。これは成功ですよね?」

クリック率だけを見れば改善ですが、重要なのはその先です。バナーをクリックした人が、最終的にコンバージョン(購入・問い合わせ)に至っているかどうか。

ある案件では、クリック率が高いバナーほどコンバージョン率が低いという結果が出ました。バナーのキャッチコピーが過度に期待を煽っていて、クリック先のページとのギャップでユーザーが離脱していたのです。

バナー施策の正しいKPIの考え方を整理すると、以下のようになります。

指標意味落とし穴
クリック率(CTR)バナーを見た人のうちクリックした割合煽りコピーで上がるが、CVRが下がることがある
遷移先の直帰率クリック後すぐ離脱した割合バナーと遷移先のメッセージ不一致で悪化する
コンバージョン率(CVR)最終的に成約に至った割合バナー単体では測れない。導線全体で評価する
費用対効果施策にかけたコストに対する売上の比率バナー10本の制作費 vs 導線改善1回の制作費で比較する

私がお客様にお伝えしているのは、「バナーを10本作る予算があるなら、3本に減らして残りの予算を導線改善に充てる方が成果は出やすい」ということです。

3. メッセージを「ユーザーの段階」に合わせる

もう一つ、バナー施策が空振りしやすい原因があります。すべてのユーザーに同じメッセージを見せていることです。

ECサイトに来るユーザーには、大きく分けて3つの段階があります。

段階ユーザーの状態有効なメッセージ
認知何を買うか決まっていない商品カテゴリの紹介、使い方の提案
検討いくつかの商品を比較している比較表、レビュー、お試しセット
決定買うものは決まっている送料無料、ポイント還元、在庫僅少

ところが、多くのサイトでは「送料無料」「ポイント10倍」のような「決定段階」向けのバナーをトップページに大きく出しています。まだ何を買うか決まっていない「認知段階」のユーザーには、このメッセージは響きません。

お客様にお伝えしたのは、「すべてのバナーがセール情報になっていると、初めて来た人は”安売りのお店”という印象しか持ちません。まずは商品の価値を伝えるメッセージが先です」ということです。

まず見直すべき3つのポイント

バナー施策で成果が出ていないお客様に、私が最初にご提案する見直しポイントは以下の3つです。

  1. バナーの数を半分以下にする。「減らすのが怖い」とおっしゃるお客様は多いですが、数を減らすことで残ったバナーの効果は上がります。まずはトップページのバナーを3枚以内にしてみてください
  2. KPIをクリック率からコンバージョン率に変える。バナー単体ではなく、「バナー→遷移先ページ→コンバージョン」の導線全体で成果を測る
  3. バナーではなくページ構成で情報を伝える。伝えたい情報をバナーに押し込むのではなく、ページのセクションとして構成する。その方がSEOにも効果があります

まとめ

今回は、バナーを増やしても成果が変わらない理由と、その改善の方向性についてお話ししました。

バナーの制作本数を増やすことが悪いわけではありません。問題は、バナーの数を増やすことが「施策」だと思ってしまうことです。本当に成果につながるのは、ユーザーがサイトに来てから行動するまでの導線設計であり、バナーはその導線の中の一つの要素に過ぎません。

「バナーを増やしているのに成果が出ない」という状況にお悩みの方は、まず現状の導線を見直してみてください。株式会社ファストコーディングでは、サイトの導線設計やUI改善のご相談も承っております。お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。