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Web制作費の”適正価格”とは? ─ 50代営業が数字で語る見積もりの裏側

Web制作費の適正価格とは? ─ 50代営業が数字で語る見積もりの裏側

株式会社ファストコーディングで営業を担当しています長谷川と申します。お客様とお話ししていて気づいたことや、フロントエンド開発、コーディング制作界隈で最近流行っていることを書いていこうと思っております。どうぞ宜しくお願いします。

今回は、ちょっとデリケートな話です。お金の話。

お客様から見積もりを出した後に、こんな質問をいただくことがあります。

「別の会社に聞いたら半額くらいだったんですけど、なんでこんなに違うんですか?」

「Web制作って相場がよくわからなくて…何が妥当なのか教えてほしい」

正直な話、Web制作費ほど「相場」がわかりにくいものはないと思います。同じ「コーポレートサイト制作」でも、30万円の会社もあれば300万円の会社もある。お客様が混乱するのは当然です。

今回は、営業として20年以上この業界にいる私が、制作費の「中身」について正直にお話しします。価格表を出すわけではありません。ただ、「何にお金がかかっているのか」がわかると、見積もりの見え方が変わると思うんです。

見積もりの金額差はどこから生まれるのか

まず、制作費の大部分は「人件費」です。サーバー代でもソフトウェア代でもありません。「誰が」「どれだけの時間をかけて」作るか。これがほぼすべてです。

ここで重要なのが、「見える作業」と「見えない作業」の違いです。

見える作業

  • デザイン制作(トップページ、下層ページ)
  • コーディング(HTML/CSS/JavaScript)
  • CMS構築(WordPress等)
  • コンテンツ作成(テキスト、画像)

これはお客様にも想像しやすい部分です。デザイナーがデザインして、エンジニアがコードを書く。わかりやすいですよね。

見えない作業

  • 要件定義・設計(どう作るかを決める工程)
  • ブラウザ・デバイスでの表示検証
  • アクセシビリティ対応
  • セキュリティ対策
  • 品質チェック(コードレビュー、テスト)
  • 修正対応・フィードバック反映
  • プロジェクト管理(スケジュール調整、進捗管理)

この「見えない作業」が、制作費の差を生みます。安い見積もりは、この部分を削っている可能性が高いんです。

あるお客様に「他社さんの半額の見積もり、何が含まれていないか確認されましたか?」とお聞きしたことがあります。確認してみたら、表示検証はChrome1ブラウザだけ、スマホ対応は別料金、修正は2回まで、という条件だったそうです。

実際にあった「安い見積もり」の後日談

私がこの話をするのは、実際にお客様が痛い目に遭ったケースを何度も見てきたからです。いくつかご紹介します。

事例1:50万円で作って、修正に80万円かかった話

ある中小企業のお客様が、相見積もりで一番安い50万円の制作会社に依頼しました。納品はされたものの、実際に公開してみると問題が次々と。

  • スマホで表示が崩れる
  • お問い合わせフォームが一部ブラウザで動かない
  • ページの表示速度が遅すぎる
  • 更新しようとしたらCMSの管理画面が使いにくすぎて断念

結局、別の制作会社に修正を依頼して80万円。合計130万円です。最初から品質の高い制作会社に頼んでいれば、100万円前後で済んだでしょう。

「安いところに頼んで、結局高くついた。最初からちゃんとしたところに頼めばよかった…」

この言葉、私は営業人生で何十回も聞いています。

事例2:値引き交渉で品質が落ちた話

別のケースです。150万円の見積もりに対して「100万円でなんとかならないか」と交渉されたお客様がいました。制作会社は受けたものの、当然どこかを削ります。

何が削られたか。表示検証の工数です。結果、IE対応やスマホの一部機種で表示崩れが発生。公開後にクレームが入り、追加費用30万円で修正。お客様の社内では「あの制作会社はダメだ」という評価に。でも本当は、必要な工数を削った結果なんですよね。

制作会社を責めたい気持ちはわかります。でも営業の立場で言わせていただくと、「値引きとは、何かを削ること」なんです。何を削るかを確認せずに値引きだけ求めると、こういうことが起きます。

事例3:フリーランスに依頼して連絡が取れなくなった話

これは本当に困ったケースです。コスト削減のためにフリーランスの方に依頼したお客様。最初は順調だったのですが、途中で連絡が取れなくなりました。

制作途中のデータはあるものの、別の制作会社に引き継ごうとしたら「このコードでは引き継げない」と言われ、結局ゼロから作り直し。費用も時間も二重にかかりました。

フリーランスの方がすべて悪いわけではありません。優秀な方もたくさんいます。ただ、「一人の体制」にはリスクがあるということは知っておいていただきたいです。

制作費のコスト構造を分解してみる

では、制作費は具体的に何で構成されているのか。お客様が理解しやすいように、大きく分けてみます。

コスト項目割合の目安内容
ディレクション・設計15〜20%要件定義、情報設計、ワイヤーフレーム作成
デザイン20〜30%ビジュアルデザイン、UI設計
コーディング・実装25〜35%HTML/CSS/JS、CMS構築
品質保証10〜15%表示検証、テスト、修正対応
プロジェクト管理5〜10%進捗管理、コミュニケーション

この内訳を見ていただくと、安い見積もりで削られやすいのが「品質保証」と「ディレクション・設計」であることがわかります。目に見える「デザイン」や「コーディング」は削りにくい。だから見えにくい部分が犠牲になるんです。

品質保証が10%だとして、100万円の案件なら10万円。これを削ると、Chrome以外のブラウザでの検証がなくなったり、スマホ対応が雑になったりします。10万円をケチって、公開後に80万円の修正費用がかかったら…というのが先ほどの事例1です。

ディレクター・PMが見積もりで確認すべきポイント

お客様やディレクターの方が見積もりを比較するとき、金額だけを見ていませんか。私がいつもお伝えしているのは、以下の5つを確認してくださいということです。

  1. 対応ブラウザ・デバイスの範囲:Chrome以外も含まれているか。スマホの検証端末は何機種か
  2. 修正回数の上限:「修正2回まで」なのか「納得いくまで」なのか。これで費用は大きく変わります
  3. CMS更新の研修・マニュアル:納品後に自分たちで更新できるか。操作説明は含まれているか
  4. 公開後のサポート体制:不具合が出たときの対応は? 保証期間は?
  5. 制作体制:何人体制か。ディレクターはいるか。一人で全部やるのか

これらを確認するだけで、「なぜこの金額なのか」が見えてきます。逆に言うと、この質問に答えられない制作会社は少し心配です。

「適正価格」の考え方

結局のところ、「適正価格」とは何なのか。私は営業としてこう考えています。

適正価格とは、「必要な品質を確保するために必要な人件費」です。

高すぎる見積もりも問題ですが、安すぎる見積もりも問題です。相場感をざっくりお伝えすると、コーポレートサイト(10〜20ページ、レスポンシブ対応、WordPress)の場合、フロントエンドのコーディング制作だけでも以下のような幅があります。

品質レベル費用感特徴
最低限30〜50万円テンプレートベース、検証は限定的、サポートなし
標準80〜150万円オリジナルデザイン、複数ブラウザ検証、CMS構築、基本サポート
高品質150〜300万円ブランド設計、アクセシビリティ対応、パフォーマンス最適化、充実したサポート

これはあくまで目安です。ページ数、機能、デザインの複雑さによって変わります。大事なのは、「安いか高いか」ではなく「何が含まれているか」で判断することです。

前回の記事(*1)でもお話ししましたが、テンプレートの初期費用が安くても、3年間のトータルコストではスクラッチ開発と変わらないケースがあります。目先の金額だけで判断すると、長期的には損をすることがあるんですよね。

見積もりを出す側として、正直に言いたいこと

最後に、営業として正直に言わせてください。

私たちも「もっと安くしてほしい」と言われるのが嫌なわけではありません。予算に制約があるのは当然です。そのときに大事なのは、「何を優先して、何を後回しにするか」を一緒に考えることです。

たとえば、「まずは5ページで公開して、残りは3ヶ月後に追加」とか、「アニメーションは初期リリースでは省略して、効果を見てから追加」とか。削るのではなく、段階的に進める方法はたくさんあります。

逆に、「とにかく安く」だけで依頼すると、制作会社も「とにかく工数を削る」しかなくなります。それはお互いにとって不幸な結果になることが多いです。

まずはご相談ください

「うちの規模だとどれくらいが妥当なの?」「この見積もりは高いの?安いの?」というご質問、大歓迎です。他社さんの見積もりについてコメントすることはしませんが、「何を確認すべきか」というアドバイスはできます。

ファストコーディングでは、フロントエンド開発のプロとして、品質と価格のバランスが取れたご提案をしています。見積もりの内訳もすべてご説明します。「こういう理由でこの金額です」と言えない見積もりは出しません。

Web制作の費用について疑問やお悩みがある方は、お気軽にこちらからご連絡ください。一緒に最適な進め方を考えましょう。

*1 テンプレート導入が逆に高くついた話 ─ CMSやノーコードの”隠れコスト”

先日、ゴルフ仲間と「何でも”安いのがいい”で選ぶとロクなことがない」という話になりました。安いドライバーを買って1ヶ月でシャフトが折れた、という仲間の話に笑ったんですが、よく考えたらWeb制作でもまったく同じことが起きています。道具にせよサービスにせよ、「なぜこの値段なのか」を理解した上で選ぶのが、結局一番賢い選び方なんでしょうね。