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UIUX改善の費用対効果を”数字で説明する”営業のやり方

株式会社ファストコーディングで営業を担当しています長谷川と申します。お客様とお話ししていて気づいたことや、フロントエンド開発・コーディング制作界隈で最近流行っていることを書いていこうと思っております。どうぞ宜しくお願いします。

先日、あるお客様との商談で「UI/UXを改善したいんですけど、上に何て説明すればいいのかわからなくて」と相談を受けました。現場の方はサイトの問題点に気づいているのに、社内で予算を通すための”数字の根拠”が出せない。これは実によくある話です。

今回は、私が営業として日々使っている「改善効果を数字で説明する方法」をお話しします。技術的な難しい話ではなく、提案や社内稟議で使える実務的な内容です。

なぜUI/UX改善提案は”机上の空論”で終わるのか

UI/UXの改善提案がうまくいかない場面を、私は何度も見てきました。改善案そのものは良いのに、社内の承認が下りない。その原因はだいたい3つに集約されます。

  • 「良くなります」だけで、どれくらい良くなるかが示されていない
  • 改善にかかるコストと得られるリターンの関係が不明確
  • 「デザインの好み」の話に見えてしまい、投資判断の対象と認識されない

つまり、決裁者にとって「お金を出す理由」が見えていないということです。デザイナーやディレクターが「ここを直せばユーザビリティが上がります」と言っても、経営層は「で、売上はいくら増えるの?」と聞いてきます。この溝を埋められるかどうかが、提案が通るかどうかの分かれ目になります。

改善効果を”数字で見せる”3つのステップ

私が営業現場で実際に使っている方法をご紹介します。特別なツールは必要ありません。Google Analyticsの基本データがあれば、誰でもできます。

ステップ1:現状の「漏れ」を数字で把握する

まずやるべきは、現状のサイトで「どこでユーザーが離脱しているか」を数字で確認することです。

あるBtoBサービスのお客様の例ですが、料金ページからお問い合わせフォームへの遷移率を調べたところ、わずか2.1%でした。料金ページに月間3,000人が訪れているのに、フォームに進むのは63人だけ。ここに「漏れ」があるわけです。

ポイントは、ページ全体のPVや直帰率のような大きな数字ではなく、コンバージョンに至る導線上のどこで離脱が起きているかを特定することです。私はお客様に「サイト全体が悪いのではなく、この1箇所が詰まっている」と伝えるようにしています。全体の話をすると漠然としてしまいますが、1箇所に絞ると具体的に見えてきます。

ステップ2:改善後の「期待値」を算出する

次に、改善した場合にどのくらい数字が変わるかの見通しを立てます。ここが一番大事なところです。

私が使っている計算の考え方はシンプルです。

現在の遷移率 × 改善係数 = 改善後の期待遷移率

先ほどの例で言えば、料金ページからフォームへの遷移率2.1%を、CTA(行動喚起ボタン)の配置変更とデザイン改善によって3.5%に引き上げるという目標を立てます。

「なぜ3.5%なのか」には根拠が必要です。私がよく使う基準は2つあります。

  • 同業種の平均値との比較: BtoBサービスサイトのCTA遷移率は一般的に3〜5%程度と言われています。現状の2.1%はこの水準を下回っており、平均に近づけるだけでも十分な改善が見込めます
  • 過去の類似改善案件の実績: 弊社で過去に対応した同規模のBtoBサイトで、CTAの改善により遷移率が1.5〜2倍になった実績があります

この「なぜその数字なのか」を示せるかどうかで、提案の説得力がまったく変わります。

ステップ3:金額に換算する

最後に、改善による効果を金額に換算します。お客様の決裁者が一番知りたいのは、ここです。

先ほどの例で計算してみます。

項目改善前改善後(期待値)
料金ページ訪問数/月3,0003,000(変わらず)
フォーム遷移率2.1%3.5%
フォーム到達数/月63件105件
フォーム完了率40%40%(変わらず)
問い合わせ数/月25件42件
商談化率30%30%(変わらず)
商談数/月7.5件12.6件
平均受注単価50万円50万円(変わらず)
受注率25%25%(変わらず)
月間売上見込み約94万円約158万円

この例では、月間で約64万円、年間で約768万円の売上増が見込めるという試算になります。改善にかかる費用が仮に150万円だとすると、約2.4ヶ月で投資回収できる計算です。

重要なのは、変わるのは遷移率の1箇所だけで、他の数字はすべて据え置きにしていることです。「改善すれば全部良くなります」ではなく、「この1箇所を直すだけで、これだけ変わります」と示す。この堅実さが信頼につながります。

実際にCVRアップにつながった改善事例

ここからは、私が担当した案件で実際に効果が出た事例をお話しします。

事例1:CTAボタンの位置と文言の改善

ある中堅メーカーのコーポレートサイトで、製品紹介ページからの問い合わせが少ないという相談を受けました。ページ自体のアクセスは月間5,000以上あるのに、問い合わせフォームへの遷移率が1.8%しかなかった。

調べてみると、CTAボタンがページの最下部にしかなく、しかもボタンのラベルが「お問い合わせはこちら」という一般的な文言でした。

改善としてやったのは2つです。

  • ページ中盤(製品スペック表の直後)に追加のCTAを配置
  • ボタンの文言を「この製品について相談する」に変更

改善後、フォーム遷移率は1.8%から3.2%に上がりました。約1.8倍です。改善にかかった費用は約30万円。お客様の平均受注単価から逆算すると、2ヶ月目には投資を回収できた計算になります。

お客様からは「こんなシンプルな変更で変わるんですね」と言われました。派手なリニューアルではなく、ピンポイントの改善で成果が出るケースは意外と多いものです。

事例2:フォームの入力項目を削減

別の案件では、資料請求フォームの完了率が低いという問題がありました。フォームにたどり着くユーザーは月間200人以上いるのに、実際に送信まで至るのが35%程度。約130人が途中で離脱していました。

原因はフォームの入力項目でした。会社名、部署名、役職、電話番号、メールアドレス、住所、従業員数、導入時期、予算感、問い合わせ内容。全部で10項目ありました。

お客様と相談して、初回の資料請求に本当に必要な情報を絞りました。会社名、氏名、メールアドレス、問い合わせ内容の4項目だけに減らしました。残りの情報は、実際に商談に進んだ段階でヒアリングすればいい。

結果、フォーム完了率が35%から58%に改善しました。月間の資料請求数にすると、70件から116件に増加。この改善にかかった費用は約20万円です。

「営業としては入力項目を増やしたい気持ちはわかるんですが、フォームで聞きすぎると、そもそもリードが取れなくなりますね」

お客様の営業部長にこうお話ししたところ、「確かに、情報が多くても電話したらまた聞き直してるしな」と納得されていました。

提案が”空論”で終わる3つの注意すべき点とその回避策

ここまでの話を読んで「なるほど」と思っていただけた方も多いと思います。ただ、実際にやろうとすると注意すべき点があります。私が何度も経験した失敗から、注意点をまとめます。

注意すべき点1:改善効果を盛りすぎる

「CVRが3倍になります」のような大きな数字を出すと、社内で期待値が上がりすぎます。そして実際の結果がそこまで届かなかったとき、「やっぱり効果なかったじゃないか」と評価されてしまう。

回避策: 控えめな数値で提示し、実際の結果が上振れする余地を残す。私は「最低でもこのくらい」という保守的な数字と「ここまでいける可能性がある」という楽観的な数字の両方を示すようにしています。

注意すべき点2:改善対象が広すぎる

「サイト全体のUI/UXを改善しましょう」という提案は、費用も期間も膨れます。そして成果が出るまでに時間がかかるので、途中で「本当に意味があるのか」と不信感が生まれやすい。

回避策: まず1箇所だけ改善して、結果を出す。その結果を持って次の改善を提案する。私はこれを「小さく試して、数字で語る」と呼んでいます。最初の改善で成果が出れば、次の予算は圧倒的に通りやすくなります。

注意すべき点3:改善後の計測をしていない

意外と多いのがこれです。改善は実施したけれど、その後の数字を追っていない。これでは「効果がありました」とも「なかったです」とも言えません。

回避策: 改善実施前に「何を計測するか」「いつ計測するか」を決めておく。具体的には、改善前の数値を記録し、改善後1ヶ月・3ヶ月の時点で比較する。この計測計画を提案書に含めておくと、お客様からの信頼度が格段に上がります。

まずはご相談ください

今回は、UI/UX改善の費用対効果を数字で説明する方法をお話ししました。

お伝えしたかったのは、以下の3点です。

  • 改善提案が通らないのは、効果を「金額」で示せていないことが多い
  • 導線上の「1箇所」に絞って改善すると、効果が見えやすく投資判断もしやすい
  • 改善前後の計測計画をセットにすることで、提案の信頼性が上がる

実際に弊社でお手伝いした案件でも、CTAの改善やフォームの簡素化といったピンポイントの施策で、目に見える成果が出ています。大規模なリニューアルだけが選択肢ではありません。

株式会社ファストコーディングでは、こうしたUI/UX改善の提案支援から実装まで対応しています。「改善したいけど、社内でどう説明すればいいかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。数字の根拠づくりからお手伝いします。

最近、ゴルフのスコアカードを見返していたら、パット数が安定した月はスコアも良いことに気づきまして。大きなショットより地味なパットが結果を左右するのは、Webサイトの改善と似ているなと思った次第です。