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「kintoneで業務改善」が実現する企業としない企業の差 ─ ツールではなく組織で決まる

株式会社ファストコーディングで営業を担当しています長谷川と申します。お客様とお話ししていて気づいたことや、フロントエンド開発・コーディング制作界隈で最近流行っていることを書いていこうと思っております。どうぞ宜しくお願いします。

うちではコーディング代行だけでなく、kintoneのカスタマイズ開発も手がけています。営業としてkintone案件に関わる中で、はっきり見えてきたことがあります。

kintoneの導入が成功するかどうかは、kintoneの良し悪しではなく、導入する側の組織の状態で決まる。

これは、何十件ものkintone案件を見てきた上での実感です。同じ規模の会社が、同じような業務課題を抱えて、同じようなアプリを作っているのに、片方は「業務が劇的に楽になった」と喜び、もう片方は「結局Excel に戻った」と言う。この差がどこにあるのかを、今回はお話しします。

成功した企業に共通していたこと

共通点1:「旗振り役」が現場にいた

成功した企業には、必ず現場に「この人がいなければ回らなかった」というキーパーソンがいました。

ある食品メーカー(従業員120名)では、製造部門の課長がkintoneの導入を自ら推進しました。この方はITに詳しいわけではありません。ただ、自分の部門の課題を一番よく知っていて、「何が面倒で、何が変われば楽になるか」を具体的に言語化できた。

うちのエンジニアとの打ち合わせでも、「ここの入力は選択式にしてほしい。手入力だと表記がバラバラになるから」「この一覧は期限が近い順に並べてほしい。いつも上から探しているから」と、実務に基づいた具体的な要望を出してくれました。

逆に、情報システム部だけが主導して現場不在のまま進めた案件は、完成しても「使い方がわからない」「前のやり方のほうが早い」と言われて定着しないケースが多いです。

共通点2:最初から完璧を目指さなかった

成功した企業は、最初のリリースでは「最低限動くもの」に絞っていました。

ある人材派遣会社(営業15名)では、最初に作ったのは「スタッフ名簿アプリ」1つだけでした。名前、連絡先、スキル、稼働状況。たった4項目のシンプルなアプリです。

「まずこれだけでいい。これが使えるようになったら、次を考えます」

この方針のおかげで、2週間後には全営業がkintoneを開く習慣ができていました。その後、案件管理アプリ、マッチング履歴アプリと段階的に拡張しましたが、最初のステップが小さかったから全員がついてこれた。

一方、「最初から全業務をkintoneに移行したい」という会社は、アプリが20個、フィールドが100個を超える設計書を作り、構築に3ヶ月かかり、リリース時にはすでに仕様が変わっていた。結局ほとんど使われませんでした。

共通点3:「使わない理由」をつぶしていた

どんなに良いツールでも、使わない人は使いません。成功した企業は、使わない理由を一つずつつぶしていました。

ある建設会社(従業員60名)では、現場の職人が「スマホでの入力が面倒」と言っていました。そこで、入力項目をドロップダウンとチェックボックスに変更し、自由記述は音声入力のガイドを作成した。「文字を打つ」から「選ぶだけ」に変えたことで、現場の抵抗がなくなりました。

別の会社では「kintoneにログインするのが面倒」が使わない理由だったので、業務PCのブックマークバーにkintoneのURLを登録し、朝一でkintoneを開く運用を決めた。技術的な対策ではなく、運用の工夫で解決した例です。

失敗した企業に共通していたこと

共通点1:1人で全部変えようとした

情報システム部の担当者が「全社の業務改善をkintoneでやる」と宣言し、各部門のヒアリングから設計、構築、マニュアル作成、研修まで1人で抱え込む。このパターンは高い確率で行き詰まります。

当人は真面目で能力も高い方が多いのですが、他の業務との兼務で時間が足りない。各部門からの要望が矛盾する。調整に疲弊して「もういいです、やめます」となる。

kintoneの導入に必要なのは「1人のスーパーマン」ではなく「各部門から1人ずつの協力者」です。

共通点2:現場の声を聞かずに作った

経営層が「kintoneを入れろ」と号令を出し、外部のベンダーが現場にヒアリングせずに「一般的な業務フロー」で設計する。こういう案件は、見た目は立派なアプリができますが、現場で使われません。

あるお客様の事例では、営業日報アプリが作られたものの、現場の営業は「日報は移動中に書くからスマホで入力したい」のに、PC前提のレイアウトで項目が20個もあった。1件書くのに15分かかるため、誰も書かなくなった。

共通点3:Excelの方が楽だという現実を直視しなかった

これは営業として一番伝えにくいことですが、正直に書きます。

場合によっては、Excelの方が適していることがある。

kintoneはデータの共有・通知・集計・権限管理に強いツールです。しかし、「担当者1人が手元で管理すれば十分な業務」をわざわざkintoneに乗せると、入力の手間だけが増えます。

あるお客様で、「備品発注のリスト」をkintoneで管理しようとした案件がありました。発注を担当するのは事務の方1名。今までExcelで管理していて特に問題なかった。kintoneに変えた結果、「Excelならコピー&ペーストで済んだのに、1件ずつ入力しないといけなくなった」と不満が出ました。

このケースでは正直に「Excelのままで良いのではないでしょうか」とお伝えしました。kintoneを売る側の営業がこれを言うのは本来おかしいのかもしれませんが、使われないアプリを作るのはお客様にとっても、うちにとっても不幸です。

営業として見てきた「成功の方程式」

これらの経験をまとめると、kintone導入が成功する条件は意外とシンプルです。

条件成功する企業失敗する企業
推進者現場の課題を知っている人が旗を振る情シスや経営層だけで進める
スコープ小さく始めて段階的に広げる最初から全業務を移行しようとする
現場の声「使いにくい」をすぐ拾って改善する「慣れてください」で押し通す
ツール選定kintoneが適さない業務はExcelのまま残すすべてをkintoneに入れようとする

kintoneは良いツールです。ただ、ツールが業務を変えるのではなく、ツールを使う組織の姿勢が業務を変えるのだと、何十件もの案件を通じて実感しています。

まずはご相談ください

今回は、kintoneで業務改善が成功する企業と失敗する企業の差についてお話ししました。

お伝えしたかったのは、以下の3点です。

  • kintone導入の成否を決めるのは、ツールの良し悪しではなく「組織の状態」。現場に旗振り役がいるかどうかが最大のポイント
  • 最初から完璧を目指すと失敗する。4〜5項目のシンプルなアプリから始めて、使う習慣を作ることが先
  • Excelの方が適している業務もある。「全部kintoneに」ではなく「kintoneが活きる業務に絞る」判断が大事

株式会社ファストコーディングでは、kintoneの導入支援やカスタマイズ開発を承っています。「kintoneを入れたいが、何から始めればいいかわからない」「導入したが使われていない」という方は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。