株式会社ファストコーディングで営業を担当しています長谷川と申します。お客様とお話ししていて気づいたことや、フロントエンド開発・コーディング制作界隈で最近流行っていることを書いていこうと思っております。どうぞ宜しくお願いします。
営業という立場でこのテーマを書くのは、少しためらいがあります。「制作会社を変えましょう」と言えば、うちへの営業になりますから。ですが、実際にお客様から相談されることが増えていて、正直にお話しした方が良いと判断しました。
「長谷川さん、ぶっちゃけ今の制作会社から変えたほうがいいと思いますか?」
この質問を月に2〜3回は受けます。そして、私の回答は毎回同じです。「場合によります」。曖昧に聞こえるかもしれませんが、本当にケースバイケースなのです。変えて良くなったお客様もいれば、変えて後悔されたお客様もいます。両方を見てきた立場から、判断のポイントをお話しします。
私が「変えたほうがいい」と思った実例
「修正を頼むと別の場所が壊れる」が3回続いたケース
ある中堅メーカーのお客様の話です。コーポレートサイトのニュース欄の文言修正を依頼したところ、修正は反映されたものの、なぜか会社概要ページのレイアウトが崩れていた。制作会社に連絡すると「すみません、直します」。翌週、別の修正を依頼したら、今度はスマートフォンのメニューが開かなくなっていた。
3回連続で「修正のたびに別の場所が壊れる」が発生しました。
これは深刻です。修正のたびにリグレッション(退行バグ)が起きるということは、テスト工程が機能していないか、コードの構造を理解しないまま変更を加えている可能性が高い。お客様にとっては「怖くて修正を頼めない」状態です。
このケースでは、制作会社を変えることをお勧めしました。修正を依頼するたびに不安を感じる関係は、パートナーシップとして成立していません。
「見積もりの根拠を聞いても教えてくれない」ケース
別のお客様で、LP制作の見積もりが相場と比べてかなり高かった。お客様が「この金額の内訳を教えてほしい」と聞いたところ、「うちの基準ではこの金額です」としか回答がなかったそうです。
見積もりの根拠を説明できない、あるいは説明する気がないというのは、信頼関係の基本が崩れています。工数の内訳を出すのが難しい案件もありますが、「なぜこの金額なのか」を丁寧に説明する姿勢は最低限必要です。
このお客様は最終的にうちに乗り換えてこられました。うちでは見積もりの内訳を工程別に開示するようにしています。金額の大小ではなく、「納得できるかどうか」が重要なのだと改めて感じた事例です。
「担当者が3回変わって、毎回ゼロから説明」ケース
ある不動産会社のお客様で、2年間で担当者が3回変わったというケースがありました。問題は、変わるたびに「サイトの経緯」をゼロからお客様が説明しなければならなかったこと。
「前回の修正でこういう経緯があって、この部分はこういう意図で作ってもらったんです」と、お客様が制作会社側に教えるという逆転現象が起きていました。引き継ぎ資料や案件の記録が社内で共有されていないのだと思います。
担当者の異動自体は仕方のないことです。ただ、それでも品質や理解度が維持される「仕組み」がない会社は、長く付き合うほどお客様の負担が増えていきます。
私が「変えないほうがいい」と伝えた実例
一方で、「変えたい」というお客様に「もう少し待ったほうがいい」と伝えたケースもあります。
「安いところを見つけた」だけのケース
あるEC事業者のお客様が「コーディング単価が今の半額の会社を見つけた」とおっしゃいました。
私は正直に「一度その会社にテスト案件を出してみてください」とお伝えしました。結果、納品されたコードはIE対応どころか、Safari での表示も崩れており、alt属性もすべて空、セマンティクスもめちゃくちゃだった。修正依頼を出すと追加費用が発生し、最終的に元の会社よりコストがかかったそうです。
安い見積もりには必ず理由があります。「品質基準が低い」「検証工程を省いている」「経験が浅い」。値段だけで比較すると、結局高くつくことが多いです。
「1回のミス」で感情的になっているケース
あるお客様が「今回の対応が最悪だった。もう変える」とご連絡くださいました。詳しく聞くと、納品物に1箇所テキストの表記ミスがあったとのこと。
確かにミスはミスです。ただ、その制作会社とは5年以上の付き合いがあり、レスポンスも品質もそれまで問題がなかった。1回の表記ミスで5年の関係を切るのは、判断としてもったいないと感じました。
「一度、今回の件をしっかりフィードバックして、再発防止策を聞いてみてください。その対応で判断されてはどうですか」とお伝えしたところ、制作会社から丁寧な謝罪と具体的な再発防止策が提示され、結局続けることになりました。
ミスそのものではなく、ミス後の対応を見るべきです。誠実にリカバリできる会社は、関係を切らないほうが良い。
変えるかどうかの判断軸
これらの経験から、私は以下の3つの軸で判断をお勧めしています。
軸1:「怖くて依頼できない」状態になっていないか
修正を頼むと別の場所が壊れる。連絡しても返事がない。言ったことが伝わらない。こうした「依頼する側がストレスを感じる」状態が慢性化しているなら、変えるべきサインです。制作会社はお客様のビジネスを支える存在であり、不安の種であってはなりません。
軸2:「説明する姿勢」があるか
見積もりの根拠、技術選定の理由、問題が起きたときの原因説明。こうした「なぜ」を丁寧に伝えてくれるかどうか。説明をしてくれない会社は、お客様のことを対等なパートナーとして見ていない可能性があります。
軸3:「仕組み」で品質を維持しているか
担当者が変わっても品質が維持されるか。引き継ぎがスムーズに行われるか。個人の能力に依存せず、会社としての品質管理体制があるかどうか。長い付き合いを前提にするなら、この軸が一番重要だと感じています。
営業としての本音
最後に、営業としての本音を書かせてください。
「制作会社を変えたい」というご相談を受けるとき、私は嬉しい反面、少し悲しい気持ちもあります。そのお客様は、以前の制作会社との関係で何かしら傷ついているわけです。期待を裏切られた経験がある。
だからこそ、うちに変えてくださったお客様には、同じ思いをさせたくない。そのためには、技術力だけでなく「説明する力」と「仕組みで品質を守る力」が必要だと考えています。
制作会社を変えるかどうかで悩んでいる方は、現状を客観的に整理するところからお手伝いできます。株式会社ファストコーディングのお問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。

