株式会社ファストコーディングで営業を担当しています長谷川と申します。お客様とお話ししていて気づいたことや、フロントエンド開発・コーディング制作界隈で最近流行っていることを書いていこうと思っております。どうぞ宜しくお願いします。
最近、お客様からこんなご相談をいただくことが増えました。
「デザインをリニューアルしたのに、問い合わせが増えないんです」
見た目はたしかにきれいになっている。写真も新しくなり、フォントもモダンになり、色味も整っている。しかし、数字が動かない。こうしたケースに何度か立ち会ってきました。
結論から申し上げると、多くの場合、原因は「見た目」ではなく「行動導線」にあります。今回は、営業として実際のプロジェクトで見てきた事例をもとに、UI改善で成果が出ない本当の理由をお話しします。
見た目を変えても数字が動かないケース
あるサービス業のお客様の話です。Webサイトのリニューアルを行い、トップページのデザインを一新しました。ヒーロー画像を差し替え、サービス紹介セクションにアイコンを追加し、全体の配色も統一しました。制作費用もそれなりにかかっています。
リニューアルから3ヶ月後、お客様から連絡がありました。
「見た目はすごく良くなったと思うんですけど、問い合わせフォームの送信数がリニューアル前とほとんど変わらないんです」
私もそのサイトを改めて確認しました。デザインはたしかに良くなっています。しかし、トップページからお問い合わせフォームにたどり着くまでの動線を確認すると、問題が見えてきました。
「行動導線」とは何か
ここで言う「行動導線」とは、ユーザーがサイトに訪れてから目的のアクション(問い合わせ、資料請求、購入など)を完了するまでの経路のことです。
先ほどのお客様のサイトでは、以下のような状態でした。
- トップページのCTAボタンが画面の下部にあり、ファーストビューに表示されない
- サービス紹介ページから問い合わせページへのリンクが、ページ最下部のフッターにしかない
- 問い合わせフォーム自体が別ページにあり、クリックしてからページ遷移が発生する
- フォームの入力項目が12項目あり、必須項目が8つある
デザインは美しいのですが、ユーザーが「問い合わせたい」と思った瞬間から実際にフォームを送信するまでのステップが多すぎました。
お客様にこの状況をお伝えしたところ、
「言われてみれば、自分でもフォームにたどり着くまでに3回はクリックしてます」
とのことでした。ご自身でも気づいていなかったのです。
デザインと導線は別の問題
お客様と話していてよく感じるのは、「デザインが良ければ成果が出る」という期待が強いということです。これは無理もないことで、目に見える変化はデザインに現れるため、そこに投資の効果を期待するのは自然です。
しかし、実際にCVR(コンバージョン率)に影響するのは、以下のような要素です。
| 要素 | 影響度 | 説明 |
|---|---|---|
| CTAの位置と視認性 | 高 | ユーザーが行動を起こしたいタイミングでCTAが見えているかどうか |
| 導線のわかりやすさ | 高 | 目的のアクションまでの経路が明確でないと離脱につながる |
| フォームの項目数 | 高 | 入力項目が多いほど途中離脱が増える |
| ページの読み込み速度 | 中 | 表示が遅いと離脱率が上がる(読み込みが3秒を超えるとモバイルユーザーの約53%が離脱するという調査(*1)がある) |
| デザインの質 | 中 | 信頼感に影響するが、導線が整っていなければ効果は限定的 |
| コンテンツの内容 | 中 | サービスの魅力が伝わらなければCTAを押す動機が生まれない |
デザインの質は「中」の影響度です。もちろん重要ではありますが、CTAの位置やフォームの項目数といった導線の要素の方が、数字への影響は大きいのです。
実際に効果が出た改善の順序
先ほどのお客様のケースでは、デザインには手を加えず、以下の順序で導線を改善しました。
改善1:CTAをファーストビューに追加
トップページのヒーロー画像の直下にCTAボタンを追加しました。ボタンのデザインは既存のスタイルに合わせ、文言を「まずは相談する(無料)」に変更しました。
この変更だけで、トップページからの問い合わせページへの遷移率が上がりました。
改善2:各ページにCTAセクションを配置
サービス紹介ページ、事例ページ、料金ページのそれぞれに、ページ下部にCTAセクションを追加しました。フッターのリンクとは別に、コンテンツの直後に「お問い合わせはこちら」のセクションを置くことで、コンテンツを読み終えたユーザーの行動を促す形です。
改善3:フォームの項目を削減
12項目あった入力フォームを5項目に減らしました。具体的には、「会社名」「お名前」「メールアドレス」「電話番号」「ご相談内容(自由記述)」の5つに絞りました。
お客様からは「情報が少なくなると対応しづらくなるのでは」というご懸念がありました。しかし、「まず問い合わせてもらうことが重要で、詳細は初回の打ち合わせでヒアリングできます」とご説明したところ、ご納得いただけました。
改善4:フォームをページ内に埋め込み
問い合わせフォームを別ページではなく、CTAボタンの直下にページ内埋め込みで設置しました。ページ遷移なしでフォームが表示されるため、ユーザーのアクションが1ステップ減ります。
改善の結果
これらの改善を実施した結果、2ヶ月後にお客様から連絡がありました。
「フォームからの問い合わせが、改善前の月平均と比べて目に見えて増えました。デザインは何も変えていないのに」
デザインには一切手を加えていません。変えたのは「ユーザーがアクションを起こすまでの経路」だけです。
「どこに投資すべきか」の判断
私が営業としてお客様にお伝えしているのは、以下のような優先順位です。
まず確認すべきこと:
- ユーザーが行動を起こしたいタイミングでCTAが目に入るか
- 目的のアクションまでの導線がわかりやすいか(各ステップで次に何をすべきか明確か)
- フォームの入力項目は必要最小限か
次に確認すべきこと:
- ページの読み込み速度に問題はないか(目安は3秒以内(*1))
- コンテンツがサービスの価値を伝えているか
- モバイルでの操作性に問題はないか
その上で検討すべきこと:
- デザインの刷新
- アニメーションや動的な演出
- ブランドイメージの統一
デザインのリニューアルは7番目です。1〜6が整っていない状態でデザインを変えても、数字は動きにくい。逆に、1〜3を改善するだけでも成果が出ることは少なくありません。
まとめ
UI改善で成果が出ない場合、原因は「デザインの質」ではなく「行動導線の弱さ」であることが多いです。
今日から確認できることを3つにまとめます。
- ユーザーが「問い合わせたい」と思うタイミングでCTAが見える位置にあるか確認する。見えなければ、まずそこを改善する
- トップページから問い合わせフォームまでの導線を自分で辿ってみる。「次に何をすればいいかわからない」箇所があれば改善する
- フォームの入力項目を見直す。「なくても初回対応に支障がない項目」は思い切って削る
派手なデザイン変更の前に、まず導線を見直す。これが、営業として多くのプロジェクトに関わってきた私の実感です。
株式会社ファストコーディングでは、デザインだけでなく、CVR改善を意識したコーディングや導線設計のご相談も承っております。「サイトをリニューアルしたのに成果が出ない」「どこから改善すべきかわからない」という方は、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
参考文献
*1 Tooltester “Website Load Time Statistics (2026)” https://www.tooltester.com/en/blog/website-loading-time-statistics/ — 複数の調査をまとめたページ速度と離脱率の統計データ集

