こんにちは、株式会社ファストコーディングの働くおかんです!
サイトの「滑らかさ」が印象を変える
先週、クライアントへの提案資料を作っていたとき、あるサイトのページ遷移があまりにも滑らかで、思わず「これ、使いやすいなぁ!」と呟いてしまいました。一方で、別のサイトはページが切り替わるたびに画面が白くチカチカして、なんだか安っぽく感じてしまったんです。
同じような内容のサイトなのに、この印象の差はなんだろう?
翌日、小学生の息子がタブレットで調べ物をしている様子を見ていて、さらに気づきました。ページが滑らかに切り替わるサイトだと、迷わずどんどん次のページに進めていきます。しかし、ページ遷移がカクカクするサイトだと、待つことが嫌いな息子は、何も言わずにさっさと別のサイトに移動してしまいました。
この「滑らかさ」が、サイト全体の印象を大きく左右している。そして、この違いをクライアントにどう説明して、案件に活かすか。これが意外と難しいんですよね。
Webディレクターが直面する技術提案の壁
Webディレクターとして日々クライアントと向き合う中で、技術提案には大きな壁があると感じています。
「それ、本当に必要?」
新しい技術を提案すると、クライアントからよく聞かれるのが「それって本当に必要なんですか?」という質問です。確かに、技術的な説明だけでは「なぜそれが必要か」が伝わりにくいんですよね。
「コストに見合う効果はあるの?」
技術的な実装には開発コストがかかります。クライアントが知りたいのは「その投資に見合う効果があるか」です。でも、数値で効果を示すのは簡単ではありません。
この壁を乗り越えるために、私が実践しているのが「最新技術 × 実装デモ × 効果の可視化」のセットでの提案です。
今回は、実務で使える2つの最新トレンド技術をご紹介します!
トレンド1:View Transitions APIで「滑らかな体験」を実現
View Transitions APIとは?
View Transitions APIは、ページ遷移やDOM要素の変化を滑らかにアニメーションさせる最新のWeb APIです。従来は白い画面が一瞬表示されていたページ遷移が、映画のシーン切り替えのように滑らかになります。
主な効果:
- ページ遷移時の違和感がなくなる(白い画面のフラッシュが消える)
- 訪問者の離脱率が下がる(滑らかな動きがサイトの品質を高く感じさせる)
- ブランドイメージの向上(細部にこだわった作り込みが企業の姿勢を伝える)
実装例1:商品一覧から詳細ページへの遷移
クライアントへの提案では、「Before/After」で見せるのが効果的です。以下の実装例では、クリックした商品画像がそのまま拡大して詳細ページに遷移する演出を実現しています。
Before(従来の実装)
After(View Transitions API使用)
2つのデモを比較すると、Before版では画像が一瞬で切り替わるのに対し、After版では画像が滑らかに拡大しながら遷移します。この「滑らかさ」が、サイト全体の品質を高く感じさせるポイントです。
実装例2:ダークモード切り替え
最近多くのサイトで採用されているダークモード。View Transitions APIを使えば、テーマの切り替えも滑らかになります。
Before(従来の実装)
After(View Transitions API使用)
Before版ではボタンをクリックすると一瞬でパッと色が変わりますが、After版では背景色・文字色・ボーダー色が全て滑らかにフェードしながら変化します。
実装時の注意点
- ブラウザ対応:Chrome 111+、Safari 18+で対応(2024年12月時点)
- フォールバック:非対応ブラウザでも動作するよう、条件分岐を実装
- パフォーマンス:大量の要素を同時に遷移させると重くなる場合があるため、適切な最適化が必要
トレンド2::has()疑似クラスで「直感的なUI」を実現
:has()疑似クラスとは?
:has()疑似クラスは、子要素の状態に応じて親要素のスタイルを変更できるCSSの新機能です。従来はJavaScriptでしか実現できなかった動的なUIが、CSSだけで実装できるようになりました。
主な効果:
- フォームの使いやすさ向上(入力中の項目が視覚的に分かりやすくなる)
- 開発コストの削減(JavaScriptを使わずにCSSだけで実装可能)
- パフォーマンス改善(JavaScriptの処理が減るため、サイトが軽くなる)
実装例:入力中の項目を強調するフォーム
クライアント提案では、「お問い合わせフォームの改善」は定番のテーマです。以下の実装では、:has()を使って入力中の項目を自動的に強調表示します。
従来の実装との比較
従来(JavaScriptが必要だった):
// 従来はJavaScriptでクラスを追加する必要があった
document.querySelectorAll('input, textarea').forEach(input => {
input.addEventListener('focus', () => {
input.closest('.form-group').classList.add('focused');
});
input.addEventListener('blur', () => {
input.closest('.form-group').classList.remove('focused');
});
});現在(CSSだけで実装可能):
/* :has()を使えば、CSSだけで実装できる! */
.form-group:has(input:focus),
.form-group:has(textarea:focus) {
background: #fff;
box-shadow: 0 0 0 3px rgba(59, 130, 246, 0.1);
}実装時の注意点
- ブラウザ対応:主要モダンブラウザで対応済み(Chrome 105+、Safari 15.4+、Firefox 121+)
- パフォーマンス:複雑なセレクタを避け、シンプルな構造を心がける
- フォールバック:古いブラウザでは単に強調表示されないだけなので、大きな問題にはならない
クライアント提案で成功するための3つのポイント
最新技術を提案する際、以下の3つの要素が不可欠です。
1. 視覚的なデモで体験を伝える
技術的な説明だけでは、クライアントは「実際にどんな使い心地になるのか」をイメージできません。動くデモを見せることで、一瞬で価値が伝わります。
- CodePenで実際に動くデモを作成
- Before/Afterを並べて比較
- スマートフォンでの表示も確認できるようにする
2. 数値で効果を示す
「使いやすくなります」だけでは、投資対効果が判断できません。具体的な数値があれば、経営層も納得しやすくなります。
- ページ滞在時間の向上率
- フォーム完了率の改善
- 離脱率の減少
- 開発時間の削減
3. 競合との差別化を明確に
クライアントが最も気にするのは「競合と比べてどうか」です。最新技術を使うことで、競合より一歩先に進めることを示しましょう。
- 「競合サイトではまだ導入されていない」
- 「業界で先駆けて導入することで、ブランドイメージ向上」
- 「訪問者に『このサイト、他と違う』と感じてもらえる」
実際のプロジェクトでの効果
先月、あるECサイトのリニューアルプロジェクトで、今回ご紹介した2つの技術を提案し、実装しました。
導入前:
- ページ遷移時に白い画面が表示される
- フォームの入力中、どこを入力しているか分かりにくい
- スマートフォンでの操作性に課題
導入後の効果:
- ページ滞在時間が平均15秒向上
- フォーム完了率が12%改善
- 離脱率が8%減少
- スマートフォンでのお問い合わせが2倍に
クライアントからは「サイトの質が上がったと感じる」「訪問者からの評価が良くなった」という声をいただきました!
特に印象的だったのは、クライアントの担当者さんが「自分でもフォームを入力してみたら、すごく使いやすくて驚いた」と言ってくれたことです。技術的な説明よりも、実際に体験してもらうことの大切さを改めて実感しました。
まとめ
今回ご紹介した内容をまとめると、以下の3つのポイントが重要です。
1. 最新トレンドを実務に活かす
- View Transitions APIで滑らかなページ遷移を実現
- :has()疑似クラスで直感的なUIを実装
- 競合との差別化につながる
2. デモ × 数値 × 差別化のセットで提案
- 視覚的なデモで体験を伝える
- 数値で効果を示す
- 競合との違いを明確にする
3. 使いやすさを最優先に考える
- 技術はあくまで手段、目的は訪問者の満足度向上
- 「使いやすい」「心地よい」と感じてもらえるか
- クライアントにも実際に体験してもらう
Webサイトのコーディングは、ただ動けばいいというものではありません。訪問者にとって「心地よい」「使いやすい」と感じてもらえることが、最終的にはビジネスの成果につながります。
最新のトレンドを活かしながら、クライアントにとっても訪問者にとっても価値のある提案をしていきたいですね!
株式会社ファストコーディングでは、こうした最新技術を活用したWebサイトの制作や、クライアント提案のサポートもお手伝いしています。「こんな提案をしたいけど、技術的に実現できるか分からない」「デモを作ってほしい」など、ご興味がある方は、ぜひ お問い合わせフォーム からご相談ください!

